代表挨拶

山口東京理科大学工学部機械工学科 教授 結城 和久

1998年九州大学大学院総合理工学研究科・博士後期課程を修了後、東北大学大学院工学研究科にて11年勤務。2009年から現在まで山口東京理科大学工学部に在職。主として高発熱密度電子機器の冷却研究に従事。特に車載用インバータやデータセンタの冷却、電子機器の実装技術に関わる熱抵抗軽減技術などの熱問題について研究。現在、

・日本伝熱学会中国四国支部・支部長

・中四国熱科学工学研究会・理事長

・日本機械学会分科会RC301『日本の電子実装産業の復活を目指す, 電子実装の信頼性と熱制御に関する研究分科会』委員

・日本機械学会熱工学コンファレンス「電子機器・デバイスのサーマルマネジメント」代表オーガナイザー

・PCTFE (Pacific Center of Thermal-Fluids Engineering) Vice-President

 

 当法人は、グリーントランスフォーメーション(いわゆる「GX」)の取り組みに基づき、半導体素子の冷却液浸漬(液浸)冷却技術を普及させ、標準化に向けた運用指針を制定してまいります。

 現在、世界は深刻なエネルギー危機と環境問題に直面しています。特に急成長を見せる高度情報化社会によりAIデータセンターの電力需要は2030年までに4倍になると予想され、その値は2024年水準から倍増、日本の総電力消費量を超える勢いです。今後、豊かな高度情報化社会とカーボンニュートラルを両立するには、安価で安定した電力供給源の確保はもとより、データセンターの省エネ化が最重要課題となります。

 このような背景のもと、冷却に伴う電力投入を大幅に削減可能で、かつ高い冷却性能を得ることが可能な液浸冷却技術が注目を集めています。すでにサーバ分野では、液浸冷却システムの商用化も一部開始され、今後、日本オリジナルの冷却技術としてグローバル展開を更に強化、産学官の枠組みを超えてイノベーションを創出し、社会実装を加速するためのフレームワークの構築が急務です。そこで、ステイクホルダーとの共創の場として「一般社団法人日本液浸コンソーシアム」を設立しました。

 是非、このコンソーシアムの場をご活用いただき、高度情報化社会を担う新しい冷却技術や関連技術を武器に、液浸冷却システムの標準化に向けた運用指針を世界に先駆けて策定できればと強く期待しています。